清々しい秋晴れの朝、遊歩道を気持ちよく歩いていると
後ろからランニング中の男性が私の横を通り過ぎた。
その直後に
「うわ、臭っ!!!!!」
思わず顔をしかめるレベル。 その男性は後ろからみても30代後半くらい。 まだ加齢臭という年頃でもなさそうなのに、なんなんだこの異臭は。
彼の走った跡がまたずーっとクサイ。
この残り香を吸わされながら歩かなきゃいかんという、清々しい朝も台無しだ。
彼の家族は何も言わないのか? それとも鼻が慣れてしまい麻痺しているのか?
同僚はさぞキツイだろうな、とか余計な心配をしてしまう。
私の職場に出入りしている業者にもひとり、この類の臭いを発する人物がいる。
彼も30代後半くらいで、最初は気にならなかったが最近になって
「この人なんかクサイ」と思うようになった。
これが「ミドル脂臭」ってやつなのか。
子供の頃、玄関のドアを開けると瞬時に父親(30代)が家にいるかいないかがすぐわかった。 だってクサイから。 タバコとポマードが混ざったようなニオイ。
そういえばかつての勤め先の某百貨店のフロアマネジャーも、わかりやすいニオイを発していた。彼が近づいてくると姿より先にニオイで感づくので、用事がある時などちょっと便利だったw
加齢臭より脂っぽくて酸化したようなニオイ。
スーパーなんかに行くと、女の人でもこれに似たニオイを発散させている人がいる。ダンナの移り香なのだろうか? もう、家中にこのニオイが充満しているのだろうか?
そういえば、勤め先に独特の匂いを発する人がいた。 何ていうか、子供の頃によく遊びに行った友達の家の匂いに似ていた。 そしてほどなく、古い木造家屋に住んでいたその人は新築の鉄筋コンクリートのアパートに引っ越した。
私はしばらくして気がついた。彼女からあの独特な匂いはしなくなっていた。
もしかしたら私は、子供の頃に嗅ぎ慣れていた匂いに反応しているのだろうか?
自分が腋臭体質なので自分を含めて人が発する匂い全般が気になるのか?
一ヶ月半、ヨーロッパを旅行して日本に帰ってきたその日、駅の雑踏の中で加齢臭が鼻をよぎった。
「あ、なんか久しぶり」
そういえば海外で加齢臭やミドル脂臭って嗅ぐことないような。 大体こんな言葉、日本語しかないだろう。 いや、日本でも新語だし。
日本人は体臭があまりない民族だなんてウソだ。 いや、体臭というより身体に染み付いた生活臭なのかも。